こんばんは。ヤマダです。
諸事情あり、コラムが
一日遅れてしまいましたm(_ _)m
先日、一人の小児科医の先生の訃報を
ニュースで見かけました。
毛利子来(もうりたねき)先生。
たぬき先生の愛称で親しまれた小児科医の先生。
87歳だったそうです。
訃報を知り、
残念な思いが込み上げると同時に、
「しばらく開いてないなぁ。」
と気が付きました。
子供が生まれて、私が初めて買った育児に関する本。
それが子来先生の書いた本でした。
『育育児典』
毛利子来・山田真(岩波書店)
里帰り出産から、東京に戻り、
まもなく始まった予防接種の帰り道。
立ち寄った書店で、手前の方に積んであり、
たまたま目に留まりました。
辞典なんて買うつもりもなかったけど、
当時は、一人で心細く、
毎日何だか不安で、
「答え」が欲しかったのだと思います。
それに、育児書らしからぬ、
外装デザインの素敵な本というのも
目を引きました。
何より、そこでちらっと読んだまえがきに
衝撃を受けたのです。
「そもそも、育児で親にできることは知れています。
いくら懸命になっても、その努力で
子に与えられる影響はほんのわずかしかないのです。」
…それまで、私は、
子どもが泣くのもグズるのも、
どこか自分に原因があるのではと
思っていました。
しかし、これによれば、
「少なくとも親の努力が性格形成に
影響する度合いについては、10%程度
というしっかりとした調査があります。
そのことは、
日本赤ちゃん学会理事長、小西行郎の
『知っておきたい子育てのウソ・ホント50』(海竜社)
という本で紹介されています。」
とのことでした。
この言葉は、
以後の育児において、
何度も救いの言葉になりました。
もちろん、親の人格を含めた家庭のありようは、
子供の性格に少なからず影響を及ぼすとは思います。
でも、子どもは、こんなに小さくても、
生まれながらに意志や気質を持っている。
そう思うと、気負いがなくなり、
そんなもんだと受け入れる気持ちが生まれ、
驚くほど気が楽になりました。
実際、第二子が生まれ、
同じ親から生まれても全く違う、
もはや「気質」としか言い表せないものを
体感してからは、
更に、この言葉を理解できた気がします。
でも、第一子のときは、全てが初めて。
あの小さな小さな赤ちゃんを前に、
全てを背負った気になり、
責任感と不安で
潰されそうになっていました。
そんな時に出会った特別な本。
他にも、
抗菌しすぎる今の風潮に警鐘を鳴らし、
「子どもを、もっと自然に近づかせ、
思い切って『汚く育てる』必要があります。」
など、それまでの育児雑誌などではあまり見ないような
言葉も当時、目から鱗だったことを思い出します。
このように、おおらかで冷静で、
優しさの滲む文章で様々なことが綴られています。
本編は暮らし編、病気編の二冊構成です。
本編の紹介もしたいところですが、また改めて…。
ちなみに、ここからたちまち子来先生のファンになり、
何冊か他の著書を読みました。
子来先生は、小さい頃、
母親が病気でほとんど寝たきりで、
父親は戦死されたそうで、
親に頼れない幼少期を過ごしたそうです。
そんな自身の体験からも、
「放っておいても子は育つ」とも言っておられ、
その言葉も、深く心に残っています。